To:チームメンバーのみんなへ
私が論理知と感覚知と呼んでいる概念があります。
私たちの知識は大きく分けて2つに分類でき、
本などで得られる文章や数字の知識が「論理知」、
体験で得られる感覚や感情の知識が「感覚知」になります。
行動経済学では、前者をシステム1(ファスト)と呼び、
後者をシステム2(スロー)と呼びます。
この感覚知とは、
読んで字の如く感覚的な知識のことで
・好きか、嫌いか
・美しいか、醜いか
・心地良いか、心地悪いか
などを指します。
なぜこの話をしたのか?
それは、商品開発やマーケティングにおいて、
感覚知が必要となるときが多いからです。
さて、コンサルティングファームなどにいる
世間からは「優秀」とされる人の中には
感覚知がとても弱い人がいるんですよね。
私は、そういう人のことを「頭でっかち」と呼んでいます。
「売上がいくら上がった」みたいな数字でしか
ものごとを判断できないからです。
こういう人は、何をすればお客さんが喜ぶのか、
あるいは悲しむのか、感情の機微がわかりません。
ゆえに、商品開発やマーケティングや顧客フォローにおいて
お客さんが悲しむようなことをやってしまうのです。
2012年頃に問題になった、
グリーやDeNAなどのコンプガチャ問題は
まさに論理知だけで突き進んだ結果です。
・こうすれば、お客さん1人あたりの売上が最大化する
・こうすれば、ガチャを引く確率が最大化する
・こうすれば、離脱率を最小化する
というように数字だけでビジネスをしたために、
「醜いビジネス」になっていることに気づかず、
消費者庁に注意されるまで歯止めがかかりませんでした。
なお、その4年後、DeNAは同じような問題を繰り返し、
PV至上主義のパクリメディア「WELQ」などが炎上しました。
これも、PVという論理知だけで突き進み、
感覚知が軽視された結果と言えるでしょう。
私に言わせれば、論理知と感覚知とは
コインの表裏の関係で、両方とも必要なもの。
すべてを論理知で語ろうとする傲慢さが
私たちの中に出てきてしまったときには
感覚知の持つザラザラさにフォーカスしましょう。
論理知にするときにはどうしても省略が生まれるので
その行間にザラザラとした感覚知があるからです。
「ザラザラした大地へ戻れ」という
ウィトゲンシュタインの言葉のとおりです。