To:チームメンバーのみんなへ
以前、「内的価値のものさし」について少し書きました。
ご参考:自然法に基づく判断
さて、なぜ「内的価値のものさし」を
持つことが重要なのでしょうか?
なぜなら、これを持たないと規律なき拡大路線に
走りやすいからです。
企業の価値を測るための、もっともわかりやすい手段は
売上とか利益といった規模を表す「数字」でしょう。
これらの「数字」を大きくしようとすると、
企業の適正サイズを超えて大きくしないといけない、
ということが起こりうるのです。
企業の適性サイズとは、
扱う商品や理念によって決まります。
たとえば超マニアックな商品を扱っている場合、
それを買いたいという潜在的なお客さんの数は
そこまで多くないことでしょう。
つまり、売上のガラスの天井が低いのです。
それにも関わらず、大きな売上を作ろうとすれば、
本来はその商品を必要としていないお客さんに対しても
「だまして」売らないといけなくなります。
これでは本末転倒です。
では、規模を表す「数字」を使わなかった場合、
企業が前年や前々年に比べて良くなったかどうかは
どうやって判断すればいいのでしょうか?
その答えが今日のタイトルにもあるとおり、
内的価値のものさしなのです。
・今月はどれくらい理念を実現できたか?
・今月は顧客の人生をどれくらい豊かにしたのか?
・今月は業界にどれくらい貢献したのか?
・今月は取引先との関係がどれくらい良くなったのか?
・今月は業界にどれくらいパラダイムシフトを起こしたのか?
これらの要素って数値化がむずかしいので、
自分の感覚を頼りにするしかないのです。
そして、その感覚が強くなったか弱くなったか、
それを自分の中の「ものさし」として
ビジネスをしていくのが理想です。
なお、このときに、論理思考しかできない人だと、
自分の感覚を見過ごすことがあります。
自分の中に違和感があるのにそれを過小評価して、
「売上がアップするから」とか「利益が増えるから」という
“頭のよい”理由で無視するのです。
すると、規律なき拡大路線になってしまいます。
売上アップなどの経済的目標を最優先とせず、
理念などの実現も優先させている会社のことを
「スモール・ジャイアント(小さな巨人)」
と英語圏では言う場合もあります。
詳しく知りたい向きは、この本を読んでみてください。
ご参考: 『スモール・ジャイアンツ 事業拡大以上の価値を見出した14の企業』ボー・バーリンガム (著), 上原 裕美子 (翻訳)