To:チームメンバーのみんなへ
先日、チームメンバーから勧められて、
『「みんなで豊かになる社会」はどうすれば実現するのか?』
という思想系の本を読んだのですが、
そこに興味深い記述がありました。
それは、エンパワーとディスラプトの対比です。
最近のテクノロジー系の企業は、オフラインのビジネスを
ディスラプト(破壊)しようとしています。
たとえば、有名なのは「メルカリ」でしょうか。
メルカリは、書店の中に、こんな張り紙をしました。
「新刊本はメルカリで意外と高く売れる!」
要は、「新品の本を書店で買って、読み終わったらすぐ、
メルカリで出品をしよう!」と言っているのです。
そして、本のメルカリでの落札価格まで
その張り紙に書いてあるのです。
これはまさに、メルカリが出版社や著者を破壊する行為、
としか言えないでしょう。
出版社にしても、著者にしても、
利益が出るのは新品の本が売れたときだけで
中古の本が売れても1円も儲かりません。
他方、メルカリは、中古の本が売れれば
そこで取引手数料を取ることができます。
ですから、著者や出版社が本来得るはずだったお金を
メルカリが奪おうとしているのです。
これがまさに「ディスラプト(破壊)」で、
オフラインのビジネスが本来得るはずだった利益を
テクノロジーでチューチューと吸い上げることです。
メルカリ執行役員の青柳直樹さんは
「新しい本を借りるようにして読む」と言っていて、
役員までもがディスラプト主義者と言えそうです。
しかし、ディスラプトとは正反対の思想で働いている人も
テクノロジーの世界にはいます。
たとえば、アップル創業者のスティーブ・ジョブズは
「テクノロジーとは自転車と同じだ」
という話をことあるごとに繰り返しました。
人間は自転車に乗ることによって
自分の足で走るときよりも楽に前に進めます。
同様に、「テクノロジーによって人間に対して
エンパワー(力を与えること)できる」と
ジョブズは信じていました。
たしかに、iPhoneも、人間だけではできないことを
テクノロジーによって実現できるツールです。
要は、テクノロジーという力を、
ある人はディスラプトという目的で使い、
ある人はエンパワーという目的に使っているのです。
そして、この思想はテクノロジーだけではなく、
色々なことに当てはまりますよね。
私達が持っているリソースを
ディスラプトに使うのか、エンパワーに使うのか。
私達はどちらを選びましょうか?