To:チームメンバーのみんなへ
私が思うに、世の中の多くの経営者は、
「強みは弱み、弱みは強み」ということを
本当の意味で理解していないと思います。
たとえば、「よく寝坊をするけれど(弱み)、
成績はよい(強み)セールスパーソン」がいたとしましょう。
そういったときに、少なくない経営者が、
「あいつは、寝坊グセという弱みさえ直せば、
最高のセールスパーソンになれるのになあ」と考えて
寝坊を減らすよう“指導”をすることがあります。
私はこのスタンスを、無知だと考えます。
もし、「強みは弱み、弱みは強み」ということを
本当に理解しているのであれば、
こういった“指導”をしないはずだからです。
「強みは弱み、弱みは強み」ということは
私にとっては下記のことを意味します。
・弱みが何もない人間は、強みも何もない人間なので、
そもそも採用に値しない。
・大きな強みがある人間は、それと同じくらいの
大きな弱みもあるはずだ。逆もしかり。
・強みを伸ばそうとすれば、自然と弱みも大きくなってしまう。
弱みを克服しようとすれば、自然と強みも消えてしまう。
つまり、「寝坊グセという弱みを直そうとしたら、
売上が大きいという強みさえも失ってしまうだろう」
と考えているのです。
「寝坊すると売上が伸びるってこと? 因果関係あるの?」
と一般的には思うかもしれません。
たしかに、寝坊と売上の間には
なんの因果関係がなさそうに見えます(笑)。
しかし、本当に因果関係があるかどうかは
当の本人にヒアリングしてみないとわかりません。
たとえば、寝坊をしても許されるくらい、
裁量がと大きい会社でないとパフォーマンスを発揮できない
トップセールスの人もいますよね。
その人にとっては、寝坊を厳しく問い詰められたら
「この会社で働くのはキュウクツだから、退職してしまおう」
と考えるはずです。
そう考えると、寝坊という弱みだけを克服することは
正しい“指導”とは言えません。
“指導”ではなく、ただの“退職勧奨”だからです。
さて、弱みに目がいきがちな経営者は
部下の弱みを克服させようとしますが、
そうすると魅力がない人材ばかりになります。
・人の目を気にして生きるしか能がなく、
・安定志向で他人の足を引っ張り、
・世の中に価値を提供することも考えられず、
・問題設定能力ももたず、
・ジェラシーのかたまりみたいな人間です。
そんな人と働きたいのであれば、
弱みを克服させればいい。
私たちのスタンスはその逆で、
弱みがもっともっと大きくなることを受容して、
もっともっと強みを伸ばすことです。
たとえば、もっと寝坊グセがひどくなったとしても
裁量をもっと大きくして、売上を伸ばすことです。
私が信じている「強みは弱み、弱みは強み」とは
まさにそういったスタンスのことです。
そして、強みも弱みも両方とも全肯定することが
ホールネスにつながると信じています。